ニュースレター38号

3月中には開花すると予想されていた桜は、4 月になってやっと開花、入学式はほぼ満開の花の下で記念写真が撮れたのではないでしょうか。

新年度に入り、5 月 25 日(土)に総会を開催いたします。
会員の皆様には会の運営などについてご意見をいただきたいと思います。
また総会終了後、常磐大学心理学科教授秋山邦久先生に「要支援家庭とその支援」と題して講演いただきます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 

 

2023年度 事業報告(10 月~3 月)

10月 13日 第 5 回 理事会・運営委員会
11月 9日 第 6 回 理事会・運営委員会
12月 4日 訪問型家庭教育支援員資質向上研修会(教育庁)
12月 20日 第 7 回 理事会・運営委員会
1月 26日 第 8 回 理事会・運営委員会
2月 10日 講演会「子どもの意見表明権と子どもの権利条約」
2月 21日 水戸市要保護児童地域対策協議会
3月 8日 第 9 回 理事会・運営委員

 

子どもの意見表明権と子どもの権利条約

2024 年 2 月 10 日に弁護士茂手木克好先生に「子どもの意見表明権と子どもの権利条約」についてお話いただきました。
法律の話はなかなか難しく、私の中で未消化の部分があったので、「子どもの権利条約」の条文を読み直してみました。
(と言っても全文を読んだことがあったかどうか、定かではないのですが)

「子どもの権利条約」は 1989 年 11 月第 44 回国連総会で採択されました。
世界の歴史を振り返ってみると、20 世紀は戦争の世紀といってもいい時代だったと思います。

2 回の世界大戦を経て、戦うのではなく話し合いの場として国際連合が発足しました。
戦争が残したものは、多くの市民(非戦闘員)の死と孤児、浮浪児など子どもの悲惨な状況でした。
このような状況の中で、第一次世界大戦後の 1924 年「児童の権利に関するジュネーヴ宣言」が、国際連盟総会で採択され、第二次世界大戦後の 1959 年国際連合総会で、「児童権利宣言」が採択されました。
どちらの宣言も基本は児童も成人と同様、いかなる理由においても差別を受けることなく、一人の人間として基本的人権を有する存在であり、人類は児童に対し最善のものを与える義務を負う、としています。

1989 年に採択された「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)はさらに子どもの「権利」の内容を具体的に規定しています(第 5 条~39 条)

*項目を上げてみると、次のようになります。
第 5 条 父母等の責任、権利及び義務の尊重
第 6 条 生命に対する固有の権利
第 7 条 登録、氏名及び国籍等に関する権利
第 8 条 国籍等身元関係事項を保持する権利
第 9 条 父母からの分離についての手続き及び児童が父母との接触を維持する権利
第 10 条 家族の再統合に対する配慮
第 11 条 児童の不法な国外移送、帰還できない事態の除去
第 12 条 意見を表明する権利
第 13 条 表現の自由
第 14 条 思想・良心及び宗教の自由
第 15 条 結社及び集会の自由
第 16 条 私生活等に対する不法な干渉からの保護
第 17 条 多様な情報源からの情報及び資料の利用
第 18 条 児童の養育及び発達についての父母の責任と国の援助
第 19 条 監護を受けている間における虐待からの保護
第 20 条 家庭環境を奪われた児童等に対する保護及び援助
第 21 条 養子縁組に際しての保護
第 22 条 難民の児童等に対する保護及び援助
第 23 条 心身障害を有する児童に対する特別の養護及び援助
第 24 条 健康を享受すること等についての権利
第 25 条 児童の処遇に関する定期的審査
第 26 条 社会保障から給付を受ける権利
第 27 条 相当な生活水準についての権利
第 28 条 教育についての権利
第 30 条 少数民族に属し、又は原住民である児童の文化、宗教及び言語についての権利
第 31 条 休息、余暇及び文化的生活に対する権利
第 32 条 経済的搾取からの保護、有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利
第 33 条 麻薬の不正使用等からの保護
第 34 条 性的搾取、虐待からの保護
第 35 条 児童の誘拐、売買からの保護
第 36 条 他のすべての形態の搾取からの保護
第 37 条 拷問等の禁止、自由を奪われた児童の取り扱い
第 38 条 武力紛争における児童の保護
第 39 条 刑法を犯したと申し立てられた児童等の保護

これらの条文を一つずつ読んでみると、今世界で起きている子どもの状況から、ロシアやイスラエルには第 6 条、11 条、24 条、38 条には少なくとも違反しているといいたい思いです。
第 12 条意見表明権が特に今の日本で注目されるのは、子ども自身が当事者であるにもかかわらず、子どもの意見を聞かずに子どもの処遇が決められ、子の権利より親の意見に重点が置かれすぎているからではないでしょうか。

この「意見表明権」の原案はポーランドのアダム・ロパトカ氏とのことです。(「子どもの人権大辞典」(株)エムティ出版、市川昭和午・永井憲一監修)ポーランドは東欧に位置し、ロシア、ドイツなどの烈強に何度も國土を侵略された苦難の歴史を持つ国です。それらの経験から子どもが自分の力で苦難を乗り越えていけるように、子ども自身の意見を「聞かれる」
ことによって、自己決定ができるようになり、責任を持って行動できるようになることを目ざしているようです。

この意見表明権を保障するために必要なことは何だろうか、と考えてみました。とりあえず、子どもに対して、子どもはこんな権利を持っているんだよ、と教えること、子どもの話を最後まで遮らずに聞く習慣を大人が身につけることから始まるのではないでしょうか。

 

「悩みがあったら相談に来てください」-この呼びかけの”弱点”は何か


「茨城いのちの電話公開講座」 に参加して‥
ネットワークあい会員 佐藤民子

先日、上記の講演会にオンライン参加しました。講師は、情報システム研究機構統計数理研究所 医療健康データ科学研究センター特任准教授 岡 檀 (おか・まゆみ)先生でした。
岡先生は2013年に、「生き心地の良い町・この自殺率の低さには理由(わけ)がある」を書かれていて、私は、2021年のアウトリーチネット・オープニングセレモニーという大会(その時もオンラインで参加しました)で基調講演をされた村木厚子さんが、その時のお話の中で紹介された本なので、読んだことがありました。今回のお話の内容は、ほぼこの本に書かれている内容でした。
岡先生は、日本の中でも自殺率の低い地域である、徳島県旧海部町について、自殺率が低いのはなぜなのかという疑問を持ち、調査をされました。その結果いろいろなことがわかってきました。自殺リスクを軽減する要素として、多様性を重視する(いろんな人がいた方がいい いろんな考えがあった方がいい)、つながっているが縛られない、自己肯定感を育む、人の評価は多角的に長い目で、があり、これらの要素があるから、助けを求めたり弱音を吐いたりできる。「助けて」と言うためには後押しが必要だと話されていました。
講演のテーマ「悩みがあったら相談に来てください」-この呼びかけの”弱点”は何か、に関することとしては、疲弊して気力体力が低下している人たちは、窓口にたどり着かない限りは支援を受けられません。そのような、すでに弱っている人たちについては、その方々の判断力や行動力だけに期待はできないので、その方々が”ホーム”にいながらにして支援を受けられる方策を作っていかなければならないと、話されていました。
また、近年は、小学生が成人するまでを追跡する、コホートスタディ「未来を生きぬく力、見つけたい」を開始され、この研究からわかったこととして、一貫して鬱傾向にならない子供の特徴として、周囲からの評価を気にしない、柔らかい思考(統計的思考)ができる、をあげています。そして、周りの大人たちが保守的な男女役割観(女のくせに、男なんだから、を口にするなど)を持っていると、それらを損なうということです。最後に、多様性尊重の徹底のためには、自分の思考パターンと周囲の行動パターンを、日々点検することが大切だと話されました。
未来を生きぬく力を持った子供たちが育っていける環境を、周りの大人たちである私たちが作っていくことが重要だということを、あらためて学ぶことができました。


聴くということ

ネットワークあい会員 根本 和子

令和 6 年 3 月 18 日、茨城県精神保健福祉センターで「電話相談対応についてー講義編―」という講演会がありました。講師は成蹊大学文学部 岩田敦子教授です。
私は残念ながら仕事で出席できませんでしたが、幸いなことに知人から資料をもらうことができました。
日頃、あいのオレンジラインで電話相談のボランティアをしていることもあり、何か勉強になればと読ませていただきました。その中で特に印象に残ったのが「聴く」の基本という箇所です。その中に「簡単にわからないで聴く」という言葉があり、これはどういう意味か考えたのですが、多分相手の話をしっかり理解しないまま、わかったつもりになって聴いていないか、ということではないかと思いました。

相手の話を理解するためにはただ受動的に聴くだけでなく、こちらから質問することも必要。客観的な事実と相談者が感じていることを織り合わせるように聴くことが重要とのことです。
今まで相談を受けることイコール傾聴と考え、相談者の意見を否定せず、なるべくポジティブに返してあげることに気をつかっていましたが、それだけではなく相談者を理解するための質問など織り交ぜることで、相談者自身も冷静になって自分を見つめる契機になるということがわかりました。
また、「すぐ慰めたり、励ましたりしないで聴く」「問題を解消しようとせず聴く」ということ等、今回勉強したことを心に留めて電話相談を続けていきたいと思います。

 

2024 年度会費納入のお願い

会員の皆様には、日頃から NPO 法人いばらき子どもの虐待防止ネットワークあいの活動にご理解を頂きまして、ありがとうございます。
あいは、会員の皆様の会費と活動に賛同して下さる皆様からの温かい寄付によって活動しております。あいの活動を継続していくために、本年度(2024 年度)会費を納入いただけますようお願いします。なお、既に納入頂いた会員様には心より感謝し、お礼を申し上げます。
*ATM 払込取扱票を利用してお振込みをされる場合、名前等の記入をお忘れなくお願いします。

≪ゆうちょ銀行≫ (払込取扱 票)
口 座 番 号 00130-3-600272
口 座 名 いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい

寄付への感謝

ネットワークあいとは

募集中のボランティア

◎オレンジライン
相談電話番号:029-309-7670

子育てに不安のある方、子どもの頃のトラウマを抱えている方、虐待体験に悩みを抱えている方の電話相談です。

毎週月・水・木曜日:10時~15時(休み:祝祭日、年末年始、お盆期間)

過去記事

茨城子供虐待防止支援組織 水戸

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