新年あけましておめでとうございます。
皆様方には、児童虐待問題について、さまざまなご尽力をいただき、本当にありがとうございます。
ネットワークあいは、2000 年 10 月に任意団体として発足しました。
私たちの団体が発足してから、本年は、24 年目となります。このような長い期間に亘って、活動を継続してこられたのは、皆様のご協力の賜物と感謝しております。
さて、昨年もまた、相変わらず、コロナウイルスの問題が何かと話題になった一年でした。私の周りにも、何人も患者が発生しましたが、皆様やご家族の方は如何でしょうか。
また、本年元旦には能登半島で大きな地震があり、その被害の全貌は未だつかめていません。茨城県沖にもいつ大地震を起こしてもおかしくない活断層があるといわれており、他人事とは思えないことです。
- オレンジライン(電話相談)毎週 月・水・木(10:00~15:00)
- オレンジサロン(虐待体験者の居場所)毎週第 2・3・4 木(水戸・つくば)
- 児童養護施設・里親から巣立った若者への食糧支援(月 1 回)
西澤哲先生講演会中止のご報告、及び今後の活動について・・
作年は、里親と里子の問題を中心にして、シンポジウムを行いました。
児童虐待を巡っては、他にも様々な問題があります。本年も、子どもを巡る様々な問題に焦点を当てて、講演会等を行う予定です。
また本年は。新たに、子どもに対する支援活動を行っていく計画もあります。詳細は、また改めて皆様にニュースレターや会報等でお知らせをしたいと思います。
本年も、昨年に引き続き、上記のような様々な児童虐待に関連する問題について、いろいろな側面から、活動を行っていこうと計画しております。
これからも、みなさまのご協力を得て、少しでも多くの子どもたちを助けることにつながる活動を続けていきたいと思います。
昨年 12 月に、子どものトラウマの問題について、山梨県立大学教授の西澤哲先生に講演をしていただく予定を立てていました。多くの皆様から、ご出席の申込みを頂いておりました。しかし、この講演会は、西澤先生の健康上の問題から、中止せざるを得ませんでした。本年(令和6 年度ということになると思いますが)、西澤先生が健康を回復された段階で、改めてご講演を
いただく機会を設けたいと考えておりますので、その節は、皆様、ふるってご参加いただければ幸いに存じます。
また、現在、子どもの意見表明権が話題となっております。子どもの意見表明権とは、「子どもの権利条約」の第 12 条において規定されている権利であり、子どもが自分自身に関係することについて、自由に意見を表すことのできる権利を差します。子どもの権利条約には、他にも、子どもに認められるべき権利がいくつも掲げられています。しかし、わが国は、この条約を批准
したものの、これらの子どもの権利の実現に前向きではないという現状にあります。そこで本年2 月 10 日(土)には、茨城県弁護士会子どもの権利委員会の委員長を長く勤められた茂手木克好先生に、特にこの子どもの意見表明権と子どもの権利条約について、講演をしていただく予定です。場所、時間等の詳細は、このニュースレターに記載されている通りです。是非多くの皆様にご参加いただけますよう、お願いいたします。
いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい
理事長 坂本 博之
斎藤環さん講演会「いじめとオープンダイアローグ」について
ネットワークあい会員 桜井みどり
水戸こどもの劇場では、2 月 3 日(土)9:45~11:45、精神科医の斎藤環さんを水戸の会場にお招きして講演していただくことになりました(会場:セキショウ・ウェルビーイング福祉会館&オンライン Zoom 同時開催)。
企画するきっかけとなったのは、昨年「いじめ加害者にどう対応するか~処罰と被害者優先のケア」斎藤環・内田良著(岩波ブックレット No.1065)を読んで、共感するところが多かったことです。
特に、いじめが起きてしまったときの対応として推奨される「オープンダイアローグ」について、いじめの場合での適用について深く知り役立てたい、子どもに関わるたくさんの人たちと共有したいと思いました。
その第 1 章「いじめ加害者対応の難しさ―制度のハードルと被害者の『やさしい排除』」では、教育社会学者の内田良さんが、学校に来続ける加害者・来れなくなる被害者、教師の半数近くが加害者を出席停止にすべきと考えているにもかかわらず加害者の出席停止への高いハードル、また中学校の生徒・教師・保護者の全てがいじめた生徒の責任が重いと考えている一方で、いじめられた側も悪いのではないかという考え
が保護者の側に根強く、いじめの事案の家庭では、被害者の子どもだけでなくその保護者も周りの保護者から孤立してしまうことがあると述べる。そして、フリースクールが拡充されてきたことは苦しむ被害者生徒を救ってきたし、さらにその充実が必要だという意見に全く賛成だが、それとは別の観点で、被害を受けた側が居ていいはずの教室・学校に居られなくなる「やさしい排除」の構造がある。被害者が学校に居ら
れなくなることを前提としたこの構造は果たしてこのままで良いのでしょうかと疑問を投げ掛ける。
その第 2 章「いじめ被害の心的影響と加害者処罰の必要性」で、斎藤環さんは、ひきこもりの診療という立場から「いじめ」の問題に関わってきて、いじめ PTSD 事例の自殺率が非常に高いという。被害を受けた直後の「いじめ自殺」は、しばしば報道されるが数年以上経ってから自殺する方も珍しくない。また、7~11 歳つまり小学校時点でいじめ被害を経験した人がその後 40 年を経ても高い健康リスクを抱え
ること示す追跡調査のデータ(いじめ被害を受けた群は、そうでない群に比べて、うつ病が 1.95 倍、不安障害が 1.65 倍、自殺傾向は 2.21 倍のリスクを抱える)を示し、学校におけるいじめ経験を学校時代のこととして卒業すれば自然に忘れる、などと決めつけてはいけない。PTSD 化することも珍しくないからだと訴える。いじめを原因とする PTSD では、心理的再体験(いじめられたシーンのフラッシュバック、悪夢)、
回避行動と反応の鈍化(同世代の学生や若者を避ける傾向など)、過覚醒(不眠、集中困難、過剰反応、感情的、神経質)のように、非常に長期間にわたって被害者の人生に深刻な影響を及ぼす。その対策として、絶対に必要なものとして、●加害者の謝罪●加害者への処罰●被害者の納得を挙げる。処罰とは厳罰を求めているわけではない。「いじめ加害は恥ずかしい行為である」と、いじめ行為をスティグマ化するためであ
る。被害者の後遺症や PTSD 化を最小限にするために必要だと訴える。
また、スクールカーストを予防すること(教室の空気の攪拌=席替え・小グループでの話し合い)の大切さと、オープンダイアローグによる対話実践について語る。「いじめ加害者に処罰を」という議論で必ず出てくるのが、「加害―被害関係が曖昧である、被害妄想としか思えない‥・そういうケースに処罰を適用するのは無理がある」という主張であり、
そういったケースに関しては、対話実践の応用が有効だと考えているとして、フィンランド発祥で、もとは統合失調症のケアから生まれた「オープンダイアローグ」を提案する。いじめのケースでも有効だと感じるのは、今関わっている虐待に関するケースで、親子の間で虐待的な関係があった場合の修復に有効だという手応えがあるからだと語る。
斎藤環さんの講演会が、いじめについて皆で考える機会になれば、と思います。
2023年度会費納入のお願い
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あいは、会員の皆様の会費と活動に賛同して下さる皆様からの温かい寄付によって活動しております。あいの活動を継続していくために、本年度(2023 年度)会費を納入
いただけますようお願いします。なお、既に納入頂いた会員様には心より感謝し、お礼を申し上げます。
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