ニュースレター39号


例年より遅い紅葉の便りが多く聞かれる季節となり、雪の便りも届いています。 この冬は暖冬ではなく、平年並みか寒いとか…皆様にはかぜなどひかれませんよ うに、年を越されることをお祈りいたします。

 


2024年度 事業報告(2024 年 4 月~9 月)

4月25日第1回理事会
5月21日 第2回理事会
5月25日 定期総会、講演会秋山邦久先生「要支援家庭に対する支援のあり方」
5月22日 講師派遣 内原同仁会子どもセンター
6月5日 鉾田市要保護児童対策地域協議会代表会議
6月26日 第3回理事会
7月1日 県要保護児童対策地域協議会代表会議
7月23日 水戸市要保護児童対策地域協議会代表者会議
7月26日 第4回理事会
8月30日 第 5 回理事会 水戸市要保護児童対策地域協議会実務者会議
9月28日講演会 西澤哲先生: 「不適切な養育を受けた子どもの心の理解とその対応」


●オレンジライン(電話相談)毎週 月・水・木(10:00~15:00)
●オレンジサロン(虐待体験者の居場所)毎週第 2・3・4 木(水戸・つくば)
●児童養護施設・里親から巣立った若者への食糧支援(月 1 回)

 


不適切な養育を受けた子どもの理解と支援


ネットワークあい 仲根泰子

昨年実施できなかった山梨県立大学大学院特任教授の西澤哲先生の講演会を開くことがで きました。

今回のテーマは「不適切な養育を受けた子どもの理解と支援」ですが、「不適切な養育を受け た子ども」になぜ「理解と支援」が必要なのか、ということを「トラウマ」「PTSD」「アッタチメント」 というキーワードで分かりやすく、説明して下さいました。

講演会が終わってしばらくして、西澤先生の講演内容をまとめてみようと、改めてレジメを読み 返してみました。何と!難しいことばが並んでいた!西澤先生の話を聞いている時は「そうか、そう か!」と納得しながら聞いていたのに・・・。 レジメを見ながら文字を追っていると、ことばとことばの繋がりがスムーズにいかない。

本題に戻って、西澤先生が「虐待」ということばを使わずに「不適切な養育」とした理由は、アメ リカで使われていることば「abuse」を日本では「虐待」と訳して使っているが、「虐待」というこ とばには違和感があると著書にも書かれています。
abuse の本来の意味は「乱用」「正しくない用い方」ですが、子どもの「乱用」では日本語として 意味がよく分からないため、暴力がイメージしやすい「虐待」ということばをあてはめたのかもし れません。しかし、もともとの意味「乱用」から考えて「虐待」の背景には親が子どもに対して自分 自身の欲求満足を求めるという「乱用関係」があり、身体的暴力のみを意味するものではないこ とを忘れてはならないということではないでしょうか。

このような「不適切な養育」の結果子どもの身に起きるのがトラウマ体験といわれる状態です。 トラウマとは先生のことばを借りれば「さまざまなショッキングな体験に遭遇することによってで

きた心の傷であり、その傷が時間の経過によって癒されることなく、その人の心理状態や精神の 働きに著しい障害を引き起こしているものをいう」ということです。

このようなトラウマ体験から起きてくる障害が「PTSD」<心的外傷ストレス障害>と言われる 状態で、日常生活、対人関係に困難をきたしたりするなど、生きづらさを抱える人が多いことは、 よく知られていることだと思います。

子どもの虐待体験は幼小期から始まることが多いことから、虐待を受けた子どもの 50%~ 70%にアタッチメント(愛着)の問題が認められるとのことです。

これは、虐待というトラウマから生じたアタッチメントの障害が、成長していく過程で人格形成、 他者との関係を中心に様々な問題を引き起こし、生きづらさにつながっていく、ということでしょう か。

最近は、災害や事件などから生じるトラウマにたいしては、カウンセリングなどで対応するケア の体制がとられるようになっていますが、虐待の場合は、どの程度ケアが行われているのでしょう か。西澤先生のレジメによれば、虐待を受けた子どもの心理的支援の方法が確立しているように 感じます。施設や里親で養育されている子ども達にも、心理的支援は行き届いているのでしょう か? 保護されたことがあっても親元に帰された子ども、相談にすら至らなかった子どももたくさんいま す。このような子ども達が、自分からケアを求めてくることは少ないだろうと思います。

私達大人はアンテナを高くして、気になる子どもには声をかけ話を聞くことで、必要な支援につ なげられたら、と思います。

 


西澤哲先生 講演会

『不適切な養育を受けた子どもの心の理解とその対応』アンケートより

・話は大変おもしろく飽きないで聞くことができた ・広範囲にわたり、ADHD的な講演内容であると感じた。
・すごく勉強になりました。
・色々とこれまでのことがむすびついてくる感覚で拝聴しました。
・頭を整理してこれからの気付きにしていきたいです。
・内容がとても良かったが難しくもあった。「プロセス」という言葉の重要性を学べた。
・公認心理師でもあるが、まさに学んできた内容でもあった。
・もう少し「不適切な養育」を受けた子ども達への具体的対応があると良かった。
・関連の本は何冊か読みましたが、講演会で直接お話しを聞き気づきや頭の整理が出来た。
・アタッチメントの問題と友社会性とケア(支援)の部分をもう少し聞きたかった。
・先生の実体験による話は、現状と重ね合わせる事が出来、大変良かった。
・アタッチメントが色々な事に関連していることが、明確になってきました。自分のものとして使えるようにしたいです。
・トラウマについて、良く理解できた。
・もっともっと話を聞きたいと思いました。
・ソーシャルワーカーとして、興味関心のある領域がいくつもあります。子どもの福祉に関することへ携わりたいと思っていて、テーマは最も学びたい内容だったので参加しました。 改めてアタッチメント障害が人格形成に与える影響について学ぶことが出来たと思います。

・西澤先生の講演があると聞きに行っています。毎回とても勉強になっています。
・難しい内容を、とても分かりやすく説明していただきました。今後、子ども達と関わる時に意識的に参考にしながら関係性を構築していきたいと思います。
・プリントの最後まで講演を聞きたかったです。
・専門的なお話しでしたが、子どもと関わる活動をしていて、とても納得いく事が沢山あり、生かしていければと思います。歩みは止めないで続けていきます。
・トラウマについて新しい学びを得ることができました。
・self の事を絡めてのお話しがあったのがヒットでした。
・アタッチメント、本当に大切だなと思いました。忙しい現代、丁寧に子育て出来る社会になる必要があるなと思いました。
・幼児期のアタッチメント形成がいかに重要か改めて実感しました。「全ての子どもに特別扱いを!」という先生のお話しにあたりまえのことなのに、複雑な環境の中にいるかもしれない 子ども達に、社会ができることをしっかり学んでいきたいとおもいました。

・トラウマ体験について、自己組織化障害を知り、働いている園にも実例で考えられることがあ ったので学ぶことが出来て良かったです。

・乳児院のアタッチメントの形成についても納得できることがあった。
・社会的養護の子ども達の中に ADHD と診断されている子が多いことが、アタッチメントと関係していることを知れてよかった。
・話の中に出でくる実例も繋がりが想像しやすく、頭に入りやすかったです。少子化の話しが生きる社会になると良いと思いました。保育所、女性等の話がとても興味深いです。
・アタッチメントと発達障害について、日々の業務の中で感じている疑問を、先生からも聞くことができ、すごくしっくりきました。こども家庭センターに来る家族との面談などで 毎日悩みながらではありますが、児の状況をしっかりアセスメントしていきたいと思います。

・アタッチメントと共に、罪悪感の捉え方について興味をもちました。
・施設で働く上で子ども達の理解し難い行動の理由が少しだけ分かったような気がします。
・トラウマの症状として、侵入性、フラッシュバック等体験を思い出すことがありますが、今までは良くない事だと思っていましたが、自分の中で体験を整理するための体の反応だと 知りました。追体験を通して、トラウマを解消していく治療が必要だと分かりました。

講演全体を通して、子どもの行動には背景があり、それを理解しようとすることの大切さを改 めて実感しました。

・発達障害でなくても、適切でない養育や家庭環境によって発達障害のような状態になってしま う。虐待を受けている訳ではないが、保護者からの不適切(からかい、乱暴な言葉)な扱いをされている為、怒ると激しい言葉や、手が出たり、友達をコントロールしようとし て上手くいかないと怒るなどの姿がある。虐待、ネグレクトまででなくとも不適切な関わり でもアタッチメントの不形成に繋がってしまう。

最近は自分の子どもが恐がったり、驚いたりする姿をおもしろがって SNS で流したり、自 分の所有物のように扱う保護者が増えていると感じる。今後はより、アタッチメントの形成 が上手くいかない子どもが多くなってしまうのかと不安がある。内容やテーマがとてもため になったと思う。

・虐待をうけ、ADHD のような状態になっている子が、潜在的に多いと感じていたので、講演で話しが出たので、消化できた気持ちです。

・極端な話、保育所はなくてもと思っているので、同じ考えを持つ方の話が聞け良かった。
・すぐに発達障害があると思い込んだ方が、楽になるという事、現場での実感としてあります。
・特別な扱いをする→特別な自分を感じさせる支援をしたいと思いました。
・不適切な行動→トラウマから回復するために再現行動をとる。

・共感性 3 つの要素 「共感的関心」「他者視点」「共感的苦痛」とても興味深い話でした。
・先生のお話しを久しぶりに復習するつもりで参加しましたが、マイナーチェンジされており、 新しい学びを得ることができました。アタッチメント理論の見直しが自分の中で起き、複眼 的な視点で臨床が行えそうです。

 

2024 年度会費納入のお願い

会員の皆様には、日頃から NPO 法人いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい の活動にご理解を頂きまして、ありがとうございます。

あいは、会員の皆様の会費と活動に賛同して下さる皆様からの温かい寄付によって 活動しております。あいの活動を継続していくために、本年度(2024 年度)会費を納入 いただけますようお願いします。なお、既に納入頂いた会員様には心より感謝し、お 礼を申し上げます。


*ATM 払込取扱票を利用してお振込みをされる場合、名前等の記入をお忘れなくお願いします。

≪ゆうちょ銀行≫ (払 込 取 扱 票)

口 座 番 号:00130-3-600272

口 座 名:いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい

 

会員募集中

◆正会員 5,000 円/年 ・正会員の方は、総会に出席し、決議権があります。

◆賛助会員 3,000 円/年 ・賛助会員会費は、寄付金扱いとなり、所得控除が受けられます。

“NPO 法人いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい” 事業活動運営に、ご協力をお願いします。

 


〒311-4143 茨城県水戸市大塚町 1866-102
TEL:029-309-7690

寄付への感謝

ネットワークあいとは

募集中のボランティア

◎オレンジライン
相談電話番号:029-309-7670

子育てに不安のある方、子どもの頃のトラウマを抱えている方、虐待体験に悩みを抱えている方の電話相談です。

毎週月・水・木曜日:10時~15時(休み:祝祭日、年末年始、お盆期間)

過去記事

茨城子供虐待防止支援組織 水戸

子どもたちの未来のために
地域のスポンサーを必要としております。